忘れていました。
その②があったことを。
【前回のブログはこちら】
今回は前回のブログでご紹介した作品づくりのマニュアルといっても過言ではない、
世阿弥による能の理論書『風姿花伝』での最重要キーワードである、
秘する花を知る事。
秘すれば花なり。
秘せずは花なるべからずとなり。
この分け目を知る事、肝要の花なり。
の解釈をしました。
今回は具体例を出しながらより噛み砕いて説明します!
目次
1. よくある失敗例
Aくんは自分の所属しているダンスチームの中のナンバーを1曲振り付けから構成まで全て手がけることになりました。
Aくん: アレもやってコレもやって大技決めて! あそこでこうゆうフォーメーションでその次はこういうフォーメーションやろう!
そんな意気込みでAくんは自分の持てる最大限かっこいい振り付けをふんだんに盛り込みかつ、
大技をいくつも取り入れ、フォーメーションも何パターンもあるナンバーを作りました。
そしてイベントでいざ披露してみると、、、
要所要所の大技で観客は沸くもののイマイチ反応が良くありません。
コンテストでも入賞できません。
でもAくんは自分がかっこいいと思うものを詰め込んだので何がいけなかったのかわかりません。
ーーー
こういうパターン。
自分では意識していないつもりでもけっこうあるんですよ。
2. 何がいけなかったか
Aくんがいけなかったポイント、それは
とにかく詰め込みすぎたことです。
アレもやってコレもやってソレもやって・・・とやりたいことをふんだんに取り入れた結果、
結局何も印象に残らなかった、ということです。
秘する花を知る事。
秘すれば花なり。
秘せずは花なるべからずとなり。
この分け目を知る事、肝要の花なり。
この赤字の部分『秘すれば花なり。秘せずは花なるべからずとなり。』です。
Aくんはやりたいことを優先しすぎた結果、
ナンバーの至るところで同じような大きさ・数の「花」を出しすぎたのです。
赤い花、青い花、黄色の花、紫の花、などなど出しすぎてしまい、
結局どの花が一番伝えたかったのか、魅せたかったのか
がわからないということです。
言い換えると曲は様々変化していきますがAくんは常にいろんなパターンのサビを歌い続けている、みたいなことです。
それではくどい。
歌だったらいろんなメッセージがあり過ぎて、
結局何が言いたいの??
ってなりますよね。
3. 「秘すれば花なり」のわかりやすい曲
・・・全然違う観点からの話ですが、
映画『天気の子』の主題歌を覚えていますか??
グランドエスケープっていう曲。
それのテレビ番組?の動画。
この曲なんてほんと「秘すれば花」そのままと言ってもいいくらい花を隠して(もったいぶらせて)います。
この動画を観ればわかると思いますがこの動画はフルで5:25あり、その中で曲がもっとも盛り上がるポイントが4:30から。
つまりそれまでは多少の盛り上がりはあれど大きな動きはそうありません。
ただしその4:30からの一気に感情が持って行かれる感じ、わかりますか??
これこそが花なんですよ。
花。
これを一気に4:30までスキップしていいとこだけ聴くというのは
野暮です。
それだとこの花としてのうま味というか、感動が薄くなりますよね。
4. 「感動」とは
そう。
花とはつまり感動ポイントとも言い換えられます。
感動とはその言葉通り「感情が動く」ということです。
大きな感動というのは大きく感情が動くということで、それはその振れ幅に比例します。
分かりやすく数字で例えると、
① 0 → 50 の幅だと50の感動
② -50 → 50 の幅だと100の感動
③ 80 → 100 の幅だと20の感動
ということですね。
この中でどれが最も感動するかっていうのはみなさんわかりますよね??
5. まとめ~Aくんの解決策~
ということでまとめです。
Aくんが作ったナンバーは結局やりたいことを詰め込み過ぎたため、
〇 感動する幅が非常に小さくなってしまった
〇 振れ幅の上下の回数が多すぎて何が伝えたいのかわからなくなってしまった
ということなんですね。
先ほどの振れ幅でいうと
50 ⇒ 80 ⇒ 50 ⇒ 80 ⇒ 80 ⇒ 100
みたいな。
ある意味では自己満足ナンバーになっただけ、ということです。
これを解決するには、
- ① : やりたいこと=魅せたいポイントを絞る
- ② : ①以外の部分をなるべく抑える
この2つを気を付けるだけで花が秘され、いざというところで花が咲くわけです。
つまり感動の幅を大きく見せる、ということです。
これは本当に意識しなければならないことで、
よさこいの多くの作品を観てきてそれが出来ていないチーム、つまりAくんと同じようなミスに陥っているチームはけっこうあります。
本人たちは一生懸命に踊ったのに、お客さんに与える印象が何も残らなかったということです。
それでは折角の頑張りが報われません。
自己満演舞でいいならいいですが折角人前で踊らせていただくのであればお客さんからの良い評価もらいたいですもんね。
なので先ほどの2つのポイントを押さえ、分かりやすい、伝わりやすい作品づくりを意識してみましょう!!
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