今回は作品づくりについて!
作品づくりって本当に難しいですよね。
なぜ難しいかというと、
マニュアルがない
からです。
だから皆さん試行錯誤しながらやられていると思います。
「何かそういう作品づくりに関するマニュアルとか解説本とかあったらなぁ、、、」
って思いますよね??
そんな本・・・
あるんです!!
今回はそんな解説本の紹介のお話です!!
※今回は2019年に書いたブログを再編集したものです。
目次
1. 先人の知恵を学ぼう
みなさん作品をつくるとき、特に振り付けですね。
たくさんのYouTubeとかアーティストのコンサートDVDの動画を観たり、
いわゆる「強いチーム」「人気チーム」の演舞を研究してみたり、はたまたテレビ番組でダンス・踊りというキーワードがあるととりあえず見てみたりしますよね。
そこから
っていうところでネタが積み重なっていきますよね。
もちろんそういう資料っていうのはプロの方や長年携わっている方が製作に携わっている場合がほとんどなので非常に大事な参考資料です。
ただし勘違いしてほしくないのはそれらはあくまで表現のひとつひとつのパーツに過ぎないということは忘れはいけないですからね!!
それをどのように扱うべきなのか、
どのような流れに組み込むべきなのか、
というポイントまで事細かに誰かが解説してくれるわけではありません。
そんな時は先人の知恵を拝借しましょう
実はそういう作品の作り方、芸との向き合い方、という点で参考文献的な、解説的な本があるんです。
それはこれ!!
『風姿花伝』(ふうしかでん)
(表紙の面が怖いとか言わないで・・・)
こちらの「風姿花伝」という本は、
世阿弥が記した能の理論書です!!
本の名前は聞いたことないかもしれないけれど「世阿弥」っていう人物の名前くらいは中学高校の歴史・日本史の授業で習いましたね。
「観阿弥・世阿弥」とセットで。
ちなみに世阿弥は観阿弥のお子さんです。
めちゃめちゃざっくりこの世阿弥の人物紹介をすると、
・父の観阿弥と共に猿楽(申楽とも言い、現在の能)を大成させる
・能の作品も50曲近く生み出し現在での能舞台でも上演されている
・その他「風姿花伝」など芸道論なども多く残している
という方です。
まぁ授業で名前を聞くくらいですからその偉大さは十分伝わると思います。
皆が良く知ることわざ「初心忘るべからず」という言葉も世阿弥の言葉なんです。
こちらも芸事に関連する言葉なんです。
これはまた説明しますね。
侮るなかれ。
2. 日本最古の演劇論
基本的には本をご自身で読んで欲しいので
最重要キーワードの紹介のみに留め、まずは本自体の立ち位置について簡単に。
・世阿弥が記した能の理論書
・世阿弥の残した伝書のうち最初の作品。
・父観阿弥の教えを基に、能の修行法・心得・演技論・演出論・歴史・能の美学など世阿弥自身が会得した芸道の視点からの解釈を加えた著述になっている。
・最古の能楽論の書であり、日本最古の演劇論とも言える。
・明治42年までは「秘伝書」の形で、その存在すらほとんど知られていなかった。
・能の芸道論として「Kadensho、Flowering Spirit」などの題名で何度か外国語訳もされ、日本国外でも評価されている。
ってことです。
ダンスでも演劇でも何でも「表現」に携わる方、
特に作品をクリエイトする立場の方は必読の1冊です。ほんとに。
3. 秘すれば花なり。
引用:http://nabibu.jp/todaywords/post-649.html
『風姿花伝』に込められた最も重要なメッセージ。
それは・・・
秘する花を知る事。
秘すれば花なり。
秘せずは花なるべからずとなり。
この分け目を知る事、肝要の花なり。
と表現しています。
要訳すると、
秘して隠すことによって花となるという道理を知ること。
花の存在を人に隠せばそれが花になり、秘密にしないことには花になりえないということである。
この秘する秘さぬかで花の有無が分かれるという道理を知ることが、花にとって大事なことなのである。
となります。
これ、解釈の仕方によってというか2つの捉え方があります。
4. 2つの捉え方
ひとつめは「言葉通りの解釈」です。
芸道の秘伝というものは、秘して他人に知られないことにより最大の効果を発揮するものである。
秘伝されたものそれ自体は、種明かしをしてしまうと必ずしも深遠なものではない。
しかし、誰も気付いていないという、珍しさ、意外性により、感動を生む芸となったり、相手に勝つ秘策ともなる。
秘することそのものが芸に最大の花を生む秘伝である。
つまり作品を作るに当たってのノウハウ、コツ、秘訣などのことです。
他言無用、その人独自の勝ちパターン、ラーメン屋の秘伝の味のことですね。
ー・ー・ー・ー
もうひとつは「タイミングの話」です。
誰も知らない自分の芸の秘密、いわゆる秘伝を持つことである。
これをいたずらに使うことは控え、いざという時の技とすれば、相手を圧倒することができるという。
これは実際の作品の構成で使えますね。
いわゆる「必殺技」のことです。
その必殺技をどのタイミングでどの程度使うのが効果的か、ということです。
わかりやすく言えばお客さんが「うおぉぉ!!」って驚くようなことです。
一瞬で衣装替えする
気持ち悪いくらい完璧に揃う振り付け
大道具登場
などなど一気に空気を持っていく仕掛けの部分です。
5. まとめ
まとめます。
〇 作品づくりは先人の知恵を学びましょう
〇 そんなときは日本最古の演劇論「風姿花伝」!
〇 最も重要なメッセージは「秘すれば花なり」
〇 「花」とはノウハウ、コツ、秘訣であり必殺技である
〇 よさこいに置き換えると一瞬で色を変える瞬間のこと
※色=言葉通りのcolorという意味だけではありません
花も様々な花の中にあると埋もれてしまいます。
「花が草原に一輪咲いている」または「咲こう」としている、その姿に人は感動を覚えるんです。
だから作品の中にむやみやたらに花を咲かせるのではなく、ここぞというタイミングで花を咲かせることこそが観ているお客さんに対して最大限の花の価値を提供できるということです。
作品作りの具体的な進め方についてはまたの機会にご紹介しますが、
実際に振りづくりを進める前、曲が完成するまでの間にこの「風姿花伝」を一回でも読んでみてください。
このメッセージ以外にも様々なエッセンスが盛りだくさんの内容となっていますのでオススメです。
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